屍のバッタ
番田
僕は 何気なく 思いついた言葉を
誰でもないような顔で 書いていた
何故だろう 言葉は 今もそこにある
誰であるということも無いままに だけどたたずんでいた気のする新宿の街角で
ぼんやりと 自分の居場所を無くした 僕は
何か遠い国に来たみたいだった
そして 言葉を無くした僕は疲れてやるべき仕事をなくしたような気がして
沈む夕日を じっと 見つめていた
家に帰る電車に乗り込むと
友達の つまらない話を思い出した
彼は何が言いたかったのだろう だけど何も考えることもなく
僕は 暮れゆく街を 歩き続けた