abuse
empty

          


羊の群れ
戯れに操業するサアカス
旋廻する記憶

線対称な磁界

鳥たちは中空をその磁界の痕跡に沿って廻る
無限なる時間を鳥たちはそうして廻っている

荒涼とした大地を
縞模様に朽ちた砂礫が走り
茫洋とした〈白〉の風景を泳いでいる

トロールの残骸と
その星屑のように砕かれた石たちを
涸渇することなく生き残った唯一の河の滸で拾い
さざめく空気の振るえとともに運ぶ
微かに潮の匂いの混じるその空気
永遠に統一されることのないその不規則な流れを

真っ白い空間が裂け
一筋の光が参入した時
誰がそれに躊躇うだろう

催涙弾のように数え切れない飛沫が地上に墜ち続け
飛翔する鳥たちも既にその姿を隠している
いっそう茫洋とした場所を
限りない沈黙で満たす
焦げるような匂いが鼻腔を衝く
雷雨は熄むことなく
無限に降り注ぐ明朗なる白い轍を
予兆させる


自由詩 abuse Copyright empty 2012-11-10 23:38:55
notebook Home 戻る  過去