ひとつの場所へ
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イマージュ
炸裂する冥府
あなたのいない墓地
境界はない
どこにも
真っ暗な夢のなかに堕ちていき
それでもどこか赤い
夢の規約を切り取った
微笑は切り取られた夢のなかに
漣のように伝播
水がしたたっている
あなたの眼と
口蓋に
したしたと
堕ちている
永遠が声を出す
夢を超えた夢
幾重にも折りたたまれた現実を
濾過して
漣にも似た記憶をつくる
でも、
まだ。
夢は終わっていない。
どこかであなたがささやく
昔通っていた学校の寮のシャワー室で
薄汚れた遮断カーテンを引き裂いて
記憶は水のなかに消えてしまう
だから
わたしはまだ
生きている
現実はいつも
夢から夢へと引き裂かれた自我を
空間へと落とし込んでいるから
まだ
つぶらな
瞳の翳りに気づかない
きみを見ている
ささやかな
営み
ただひとつの場所へと
もんどりうって
消火栓は三階から
転がり落ちていった
白い粉を拡散させて
蛾が飛んでいる
蛇口から水がずっと流れている
誰も止めずに
子音
かすかに聞き取れる指紋
無垢の転落
鳴り止まないカーテンコールのような
ただ時間だけが一途に
福音をうべなう
誰もいない廊下
柱時計の音だけがいやに耳にとどく
卓球台が幽霊のように整然と並んでいる
終わらない
まだ
真っ白な視界
廻っている
終わらない祈りが
ただ生を突き動かしている
そこにしか
無限はない
僕は記憶の引力を離れて
別の場所へ向かうことをねがう
自由詩
ひとつの場所へ
Copyright
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2012-11-09 19:06:38