販売員との立ち話
番田
何かとても疲れているようだった
家に帰れば 違う仕事を探していた
休みの日は面接に向かう度に耐え難い疲労を重ねていた
しかし土日も休み無く働かなければならないとは 過酷だ
僕らには苦い青春を送るしか選択肢はないようだった
ぼんやりと 暗い時代がやってきた
レディオヘッドの暗い歌も妙に売れるわけだった
それ以上にエンタメ自体が下火すぎた
人はもう積極的に何かを知ろうとはしないのだろう
定期代を間違えて 山手線一周をプラスして購入していたことに気づいた
これはキャバクラの何回分だろう
おさわりもありだ だけど 財布の中は 空だった
昼間から渋谷のブルセラショップの扉を押した
むんとした匂いがたちこめるスカートをめくっていた
僕はそこに芸術の可能性をひしひしと感じさせられた
僕も現実の世界を超越したような夢を見たかった
そういったことは 誰にとっても 難しくはないはずだ