販売員との立ち話
番田 



何かとても疲れているようだった
家に帰れば 違う仕事を探していた
休みの日は面接に向かう度に耐え難い疲労を重ねていた
しかし土日も休み無く働かなければならないとは 過酷だ
僕らには苦い青春を送るしか選択肢はないようだった
ぼんやりと 暗い時代がやってきた
レディオヘッドの暗い歌も妙に売れるわけだった
それ以上にエンタメ自体が下火すぎた
人はもう積極的に何かを知ろうとはしないのだろう


定期代を間違えて 山手線一周をプラスして購入していたことに気づいた
これはキャバクラの何回分だろう
おさわりもありだ だけど 財布の中は 空だった
昼間から渋谷のブルセラショップの扉を押した
むんとした匂いがたちこめるスカートをめくっていた
僕はそこに芸術の可能性をひしひしと感じさせられた
僕も現実の世界を超越したような夢を見たかった
そういったことは 誰にとっても 難しくはないはずだ




自由詩 販売員との立ち話 Copyright 番田  2012-11-07 02:24:47
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