場合じゃない
瀬崎 虎彦

束ねられたさびしさを解くと
ふっと花の香りがしたようで
そのことを伝えようと振り返り
不在に胸を踏みつけにされるようだ

音も声も湿度もすべて気配の中にないまぜ
微笑も寝顔も怒ったときも輪郭の中に解け
夜を波を数えてシーツの海に沈む
沈黙する窓の内側と外側にいるようで

無意味な言葉を書き連ねるな
言葉を大切にしろ
詩なんて書いてるつもりになってる場合じゃない


自由詩 場合じゃない Copyright 瀬崎 虎彦 2012-10-16 23:44:05
notebook Home 戻る  過去 未来