C'est .... à moi.
AquArium

何度もかき消そうとした
浮かんではそのたび
残暑の滲む空に放り投げた
危うさ
すべて不必要の時間に変えて

逃げることすらせず
甘んじた堕落の日々に
差し伸べられていた大きな手も
振りほどこうとした脆さ
だけが私の魅力だったのだろうか

 

 分からないことが
 曇り空を連れてきて
 いつの間にか
 青が消えてく
 曖昧なことが
 冷んやりした夜を呼んできて
 気づいたとき
 涙がこぼれて
 灰色に染まる


嘘をこころに撒き散らして
その場しのぎ
それだけで
温度を実感できたのに
いま、
氷点下になる

影がのびる
蜃気楼のなか歩いた日も
ひと月まえのこと
もう
薄暗い空が早くて
差し込む光も見えないまま

夜を連れてくる
息を吸う間もないくらいに
朝が迎えにくるけど
変わらない景色に
胸を撫で下ろしたり
意味もなく涙が零れたりしています

足音だけで分かる
胸がきゅうと泣くのに
気づいて欲しいことに気づいてしまって
笑いあえなくなる
もう完全に引き返せなくて

肌寒さが教える
眠れない理由や
ぎこちない距離のわけを
蝉の声が聞こえなくて
暑いですねと
間を繋ぐ術をなくしてく

程よく混み合った中央線
触れるか、触れないか
その曖昧さが
撫でる感触に記憶だけ鮮やかで
いま、
驚くほど不快な満員電車に揺られている

探してみる
やさしい声を
誰も気づかないような微かな叫びを
居場所を確保するための
愚かな歩みだとしても

言い訳を必死で考える
たいして欲しくないものを
せがんでは
湧き上がる愛しさに
泥を塗ってしまう

何度もかき消そうとした
けれど



けれど、



目に映るのはどうしたってあなたで
秋空の下求めているのは
その柔らかい温もりだった


自由詩 C'est .... à moi. Copyright AquArium 2012-09-30 18:51:59
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