「夏空」
ベンジャミン

ただ
青いだけじゃなかった

あの頃の空に心は
どこまでも焦がれていて
その日差しよりもはるかに
まぶしく映っていた

誰だって一日空を見上げない日はあるって
あなたはやっぱりまぶしそうに空を見上げ
そのくせ焼きつくような視線で追いかける

それを一緒に見たくても
重ならないのはきっと
それがもう残像だから
そうやって夏空は
夕焼け色の方へ
ゆっくりと流れていった

あれからもう何年もたつというのに
ときおり忘れたように見上げた空が
苦しいほど青いときがある

それは
あの頃の空に焦がれていた心が
空に焦がれていたように思えただけで

本当は
あなたに焦がれていたことを
そっと思い出したくなるからなのだと

夏空は
またゆっくりと季節を変えながら


一つ遠くへ去ってしまう



 


自由詩 「夏空」 Copyright ベンジャミン 2012-09-27 00:46:59
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