安全圏の神々

腐臭が届かぬ場所にいれば
それは美しい光景かも知れない
死も崩壊も距離によって美となる
心を持たなければさらに美しい

わずかな罪悪感を
わずかな金に置き換えて
他人事の神々たちが
安全圏で見物している
本当に安全なのかは
誰にもわからないのだが

あなたの祈りに意味がないように
彼らの気まぐれな言葉にも価値はない
キーボードに触れる彼らの指先が
あなたの心に届くこともない
悲しみに共鳴したという幻想だけが
あなたの孤独を弄んでいる

すべてのオモチャを失って
不満顔の子どもによって
虚空に放り投げられた
野良犬の眼球が
そのまま落下することなく
寂しい二つ星になる頃
世界は今日も輝きはじめる
教訓として活かされることもなく
踏みにじられた命たちを眺める
安全圏の神々のために


自由詩 安全圏の神々 Copyright  2012-09-24 02:20:01
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