サマーにはうんざり
竜門勇気


悲しい余生を想像するのは
ちょっと疲れてしまった
新しい何かが必要だけど
今ここにいる素敵さは捨てられない

花火の色なんて
綺麗に思ったことはないよ
うんざりした顔を誰かに
悟られてしまうよりは
憂鬱のまま嫌われていくほうが楽なのに

海にはいかなかった
プールにも

熱くてやんなるから
バスタブにはカラでいてもらった

ぬるい湯を浴びながら
シャワーノズルを撫でてるうちに
寒くなっちゃえ

秋が来るよ
秋が
遠くからたくさんの音を立てて

無意味なビルをなぎ倒して
たまにはいいとこ見せてよ
サマーにはうんざり
この冷たい雰囲気にはうんざり
もう僕にはこんなモノ効かないんだ

電信柱溶かして
さよならいおうよ
サマー
まだ踏んだり蹴飛ばしたり
愉快な生き方を探してるの

寒くなってく
寒くなってく
虫たちのシュプレヒコールが
低いざわめきになってしまう前に
サマーには
サマーには
そんなヤツにならないように
また来年
僕じゃない誰かをいらだたせる算段を
練り続けていられるように

羽をちぎって待ってる
羽が要らない季節を過ごしてる


自由詩 サマーにはうんざり Copyright 竜門勇気 2012-09-07 02:47:08
notebook Home 戻る