夏を弔う
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内臓から
絞り出される渇望
追い詰められていた
それでいて抱きしめられていた
壊そうとしているのか守ろうとしているのか知らないままだった


熱をかきわけ
わたしは生き延びる
なんとしても


濃い緑に
蝉の声に
入道雲に
磨かれた空に
遠い遠い太陽に


いのちがけの勝負に勝ってほんの少し泣いた
真っ赤な空にヒグラシ
アスファルトに残る温度
あ、今、風が過ぎる、過ぎたらもう


失うのだ わたしは 今年の夏を




自由詩 夏を弔う Copyright ________ 2012-08-26 16:32:46
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