虚飾拾遺集
石原大介
サンダルの散らかり過ぎた滑走路 紙ヒコーキの泳ぐ地下鉄
この街に照準のような雪が降る 国道のはて 君の空より
ダイダロス=秋の夜長にこんがらがったる作業ラインの十二指腸である
しっとりとえび満月が屋上で膝をかかえて病んでいました
猪口才な! 周回後れのネズミの尻尾にまるいくしゃみのとまらない夢
作業着のつわものどもが檻のなか ハーフミラーで巡る街かど
五十円玉の虚空の砂嵐 裏にはためく緋色の絹布
嵐の夜 波提の縁に回春の下駄をくわえて踊る先生
エレファント・ストーンの寺 嘶きて 満ちたる帆なり肩越しの空
沼底に握り締めたるいちもつの うたう異界よ 錆びたあぶくよ
短歌
虚飾拾遺集
Copyright
石原大介
2003-10-24 00:23:41