簡易ジョーロ
藤鈴呼

思い出の 場所と人を
塗り替えるのには
時間が要るね

例えば 誰かに
慰められても
自分の 気持ちが
落ち着かないと

本当の意味での 平穏は
訪れないから

行きたくない場所が
いつか
思い出だと言う場所が
いつか
何も 感じぬ場所に
変わるのかも 知れない

思い出って 不思議でね
良かったコトばかり
素敵に 光るよね

美しく 見えて
過去の小箱を 開いたら
必ずしも
素敵なメロディーが響くとは
限らなくて

踏みたくない地 なんだけど
靴の跡
いつの間にか
付いてしまうことも
有るよね

嫌だ 嫌だ
雁字搦めに されて
縛られた思いは
きっと 重たい

魔法みたいに
飛べる 跳べると
何時でも 信じられたら
楽なのにね

役目を 剥奪されるより
重要な ミッションだって
映画の主人公気取りで
ハンドル握れたら
何処までも 走れそうな
気が するのにね

人に 任されることは
頼りにされている 証拠
人を 負かすことは
自らが 弱い 証拠なのかも
知れない

今日は 新しい
発見が 有ったよ

何時もの様に
鉢に 水を あげたんだ

小さな ペットボトルでね
如雨露なんて 持ってないから
100均で買った
キャップタイプの
シャワーヘッドみたいな
簡易ジョーロを つけてね

何か ビョコッと
飛び出てんだよね

嗚呼 春と間違えて
こんにちは しちゃったんだねぇ〜
そう 思ったら
笑みが こぼれた

そんな 私を見て
誰かは
コイツ 怪しいヤツって
ドン引きするかも 知れないし
誰かは
心優しい乙女だなぁ〜
・・・とは 思わないかも 知れないけどサ

春と間違って 咲いた ムスカリに
ムスっとするのは 簡単

今 早まってしまったら
来年 花 咲かせられないよって
嘆くんじゃなくって

そんな姿も 可愛いよって
褒めて あげたら
本当に 可愛い花を
見せてくれるかも
知れないんだもの

冬を 目の前に
顔出しちゃって 可哀想にって
同情するのは
枯れてからでも 十分だから

今は 花びらの色を 待ちわびて
少しずつ 水をあげれたら いいな

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自由詩 簡易ジョーロ Copyright 藤鈴呼 2012-05-27 08:43:39
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