貝
草野春心
ぬるい春の夜
アスファルトの上に
花が降っている
葬儀屋の看板が
ほんの少し口角をあげる
目に見えぬ桃色の貝が
ひそかに息を吸い
けれども
吐き出すことはない
夜、
愛する君の声は
耳にまで届かない
自由詩
貝
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草野春心
2012-05-03 08:31:05
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