煙が目にしみる
吉岡ペペロ

街全体がさみどりの煙のなかにあるようだった。

煙が目にしみる。

街道に木々がつらなっている。

そこには生まれたばかりの新緑が散らばっている。

この柔らかな色彩。

時間がまるごと冷たくなっている。

それは鉱物の色彩のようにも見える。

この煙にしばらく巻かれていよう。


18のとき、ぼくはあのひとに出会った。

20のとき、ぼくはあいつに出会った。

あのひととは体とこころを最愛で結んだ。

あいつとは時間と法則を友情で共にした。

煙が目にしみる。

ぼくだけが生き残ってしまった。

煙が目にしみる。

ぼくはまだ死に方を探している。


街全体がさみどりの煙のなかにあるようだった。

煙が目にしみる。

街道に木々がつらなっている。

そこには生まれたばかりの新緑が散らばっている。

この柔らかな色彩。

時間がまるごと冷たくなっている。

それは鉱物の色彩のようにも見える。

この煙にしばらく巻かれていよう。








自由詩 煙が目にしみる Copyright 吉岡ペペロ 2012-04-30 16:09:46
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