亀の鉱物
竜門勇気


目で感じるものは全部
手で感じるものは全部
本当に感じたいものじゃなかった

サンタクロースが来て
プレゼントを置いてって
嬉しかったのはプレゼントじゃなかった

貧しい人間だ
哀れな顛末だ
叶えたい願い事がわかった時に
祈るのをやめてしまった

心はないんだ
感じもしないんだ
そこにはそういうのは持って行けないんだ
喜びじゃないんだ
楽でもないんだ
叶えたいのはそんなモノじゃないんだ

目で手に入れた情報は
脳で蓄えた理屈は
どうしても最後まで一緒にいられないと気づいた

手で触っただけの世界は
それだけで全部になろうとして
僕を忘れようとしてるんだ
そんな勝手な世界はいらないんだ
感じもしないんだ
亀の鉱物みたいに
ずっとのろまだ

心を欲しがらないように
気をつけろ
どこにもないものだから
心を失くさないように
気をつけろ
どこにもないものだから

目も手も心も脳も
アテにはならない
人も世界も自分も
なにもくれない


自由詩 亀の鉱物 Copyright 竜門勇気 2012-04-29 22:43:41
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