「大目に 二合水」
ミネ

ステンレスキッチンに置かれた
一枚の紙切れ
強烈に窓からそそがれる
陽射しにめまいしながら
水をのんだ
昼の電波網では
とにかく男と女が終止
運命の出会いをくり返している
のに中庭には
不格好にのびたパパイヤの木
やはり
そそがれる陽は強烈だ

強烈なうえに
さらに強烈な音が
天上をきる
でも主婦はきっと
黒砂糖を口にしながら
非日常の運命にあこがれ
子供たちは楽しそうに
ジャングルジムでおいかけっこ
ブランコで青空に足をあげる

この さんざめく瞬間を
私は
愛おしく
悔い恐れ
祈りながら
手にある紙切れを見て
「大目に
 二合水」と
左から大きく縦書きなんかしてる
母の字にニヤリとした


自由詩 「大目に 二合水」 Copyright ミネ 2004-12-04 16:17:46
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