化石
本木はじめ

割れてしまった小指の爪が剥がれている
転調の兆しとしての赤黒い血が、一滴
卵黄のように盛り上がったまま凝固している
そして今夜も
別れの言葉はさよならです
別れの言葉は
こんにちはではないことを
再度鵜呑みにしながら
わずか二分間の世界の消滅の最中
ぐるぐると巻き舌で空をピンクに変えてゆくきみ
柱も真っ青だよぼくの過呼吸のように
瀕死の約束が
扉も開かないまま岩石のように重力してる
このまま どこにもいかないでいることが
果たしてぼくらにできるだろうか




自由詩 化石 Copyright 本木はじめ 2004-12-03 09:35:57
notebook Home 戻る