ひとりでならなれる
吉岡ペペロ

ぼくはそのエレベーターにひとりで乗り込む

高度3万6000キロあたりで

ぼくは人類一小さな男になるのだ

ひとりでならなれる

あなたのクリトリスぐらいの大きさに

ひとりでならきっとなれる


外敵もいない

食べる物も限られているというような環境だと

種はその体を小さくさせてゆくことがあるそうだ

夕刊にそんな記事が出ていた

翌日の朝刊にはこんな記事が

2050年にはエレベーターで宇宙に行ける

カーボンナノチューブで出来たケーブルを伝って

時速200キロで一週間かけて行くのだという

宇宙に突き出たケーブルの先端は

飛び出さないよう重りをつけて押さえるんだとか


ぼくはそのエレベーターにひとりで乗り込む

高度3万6000キロあたりで

ぼくは人類一小さな男になるのだ

ひとりでならなれる

あなたのクリトリスぐらいの大きさに

ひとりでならきっとなれる





自由詩 ひとりでならなれる Copyright 吉岡ペペロ 2012-02-22 21:33:13
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