無神論者の為のキリスト
salco
神などいない
人間がそれを必要とする以上
絶滅しないだけのこと
世界がいくら愚かしく回っていようと
蒙昧な信心にすがるほど人類はもはや
無垢ではないし社会機構も粗野ではない
人間はただ神を製造する制作する
受像機やテレビ番組同様
量産は人類の宿業だ
ヤジリ、土器も
ヒジリ、伝奇も
確かにイエズスという男は存在したのだろう
ナザレの大工の出奔
預言者ヨハネの膝行
胡散くさい経歴や話の尾ひれはどうでもいい
相も変わらず衆愚が待望する奇跡や復活
それとは別の精神作用を確かにもたらす
だから今も存在する
だから人の子の主は仮託される
それだけの話だ
二十世紀
神話の次に我々は
絶対神の息の根を止めた
人間の前に立ち塞がる者はもういない
私も毎日神を殺し
死ぬまで否定し続けるだろう
それでもカフェイン、ニコチン程度に
イエスとユダに中毒する
それだけの話