緑、ほねぐみ
Six

 神様への恨みその他
 いろいろあって
 昆虫に生まれ変わる夢をみた
 キャベツの葉の巻き込みの下で
 今とてもしあわせ

 緑色の天蓋はともすれば
 お祖母さんの匂いがする
 そうだ多分
 死んだお祖母さんは
 生まれ変わって昆虫になったのだ

 お祖母さんとの対話は
 そんなに楽しいものでもなく
 まあまあ退屈
 主に両親のことを聞くので
 元気にしてるよと答えてやる

 昆虫になっても
 キャベツの葉は甘く
 自分で作った下手くそなロールキャベツと
 だいたい同じ味
 あれだって味は悪くなかったのだから

 お祖母さんはわたしのこと
 余り心配していないみたい
 それは詰まらない
 詰まらないから少し泣いてやった
 でもしあわせなのならそれでもいいんでしょう?

 いいけどもさ
 目が覚めたら何をするの
 洋服を着て会社に行くよ
 ブラウスにアイロンがあたってないの
 心配ごとってその程度

 寝違えて首が痛くなるかも
 脚が一本もげたわ
 お祖母さんは蝶々になるのだと言う
 緑色ってまぶしいよね
 そうね朝だから

 そうね


自由詩 緑、ほねぐみ Copyright Six 2003-10-21 10:52:43
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