ハロー・グッバイ
マチムラ

掴もうとする指と
突き放そうとする腕は
どちらが速い?

駆け出そうとするつま先と
立ち止まろうとする踵は?

ねえ、教えてよ
みんなものごとの始め方ばかり
教えようとするんだ

でもはぐらかしてばかりで
終わり方を教えようとしないんだ
ねえ、どうしてなんだろ

好みの波紋を描くように躾けられて
だからこんなにも空っぽなんだ
あらゆる幸福のモンタージュに囲まれて
いつも上機嫌さ

だからこうして夜な夜な
言葉の安全剃刀で試し切りをしているんだ
この錆びついた現実をさ

でも実際には
使い古された轍の上を歩いてばかりだ
ねえ、どうしてなんだろ

ねえ、どうしてなんだろ
いつからこの世の中は
こんなにも豊かになり過ぎてしまったんだろ

死ぬことすら官美なんだ
みんなの笑顔に囲まれて

だから言うよ
ハロー・グッバイ
誰の落ち度でもないこの世の中に
ハロー・グッバイ



自由詩 ハロー・グッバイ Copyright マチムラ 2011-12-20 00:17:58
notebook Home 戻る