12月19日
salco

意外な早さで唐突に、その日が来
実にあっさりとその死去が伝えられ
ほんの数日前に安否を取り沙汰されていた、あのおばさんアナが
黒いチマチョゴリで元気な姿の、沈痛な面持ちに小声で
哀悼のニュース原稿を読み上げている
昨夜バルサのオトナ勝ちに華やいだだけに
全く現実感が湧かない
韓国やアメリカの諜報機関が掴んでいない内の訃報とは
突然死は事実なのかも知れないが
日付と「視察」は怪しいものだ

ファスナー式がオリジナリティーを主張する、
珍妙な中山服にシークレットブーツ
便秘のひよこ豆といった風貌の独裁者がみまかったというのに
「慎重に推移を見守る」ワシントンの深刻さにも関わらず
私には、
これで時代が大きく動くといった期待も緊張も稀薄だ
アンチクライマックスのおかしみも無い
震災が尾を引いているせいか
或いは日本経済が先行きの暗さに取り巻かれているせいか

苦難だけを舐めさせられて来たかの国の民は
次の失策には黙っていないだろう
いよいよ継承はハリボテだ
国父の孫など拝む義理はない
七光りの親父がカツカツだったものを
軍部の摂政達も
己が既得権の為にしか動く理由が無い筈だ
傀儡なら首のすげ替えで穏便に済む

軍の増長を見越して
文民の大物あたりが逃げ出すかもしれない
最もタガの緩んだ今がチャンスだろう
軍内部でも権力抗争が始まっているのかもしれない

政権が弱体化に転んでも38度線が緊迫するだろうな
とは思う
拉致問題が解決に向かってくれれば、とも思う
が、イラクやリビアの時と違い、何か
感情に響いて来ない
すぐ隣の国なのに
近年にない転換期を迎えたというのに
2011年の〆がこれなのかと茫然としている
疲れたのかな、私は
帰ってお風呂に入りたいだけ
眠い


自由詩 12月19日 Copyright salco 2011-12-19 23:11:07
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