祈り(連詩)
ことこ

素粒子の海で、分解されたままの、不確定の、私達という、名の、洗われた、ものたちが、今、優しい、数式で、拾われて、わられていく、言葉たちは、ちりぢりになって、目にみえない、わたしとあなたは、いくつもの素粒子の海を、ただ眺めていた

手に触れるものは、すべて、分解された、後の、私達の体だったものの、残されたままだった、眺められていた、私たちは、長く、まあたらしいスカートを、くしゃくしゃにしてしまった、打ち捨てられた、流木のつきささる、海岸線、断絶の雨、なにも音はきこえない、のなら、水中でも変らない、スカートに、張り付く、体に、新しく濡れた、手が与えられる

抱き抱えられた、れていた、れている、やさしさはなにも、盲目のように、あなたはやさしい、かった、カスタネット、みたいに、どうしようもなくまた、音が合わさるたびに、音階が上がる、まるで、初めての音を鳴らすように、何度も、繰り返される、瞬き、瞼の裏で、くらやみが、ひろがる

そこは宇宙だった、ほしぼしが瞬き、そのたびにまたひとつ、小数点がこぼれて、わたしたちまたひとり、ひとりひとり、ふるえるくらいに、ふるえて、またふえる、ほしぼしの、あいだに、やどる、おおくの、かがやきのうちに、おちたままの、わたしたちがぶんかいされて、また、つくられた、たべる、くちぐちに、この、あれた、ふゆのきせつを、いのっている、ふたりになるまで


自由詩 祈り(連詩) Copyright ことこ 2011-11-26 22:53:47
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