花の底
Lily Philia



はしるの
スカートが汚れるのも
構わないで

あちらこちらが
ゆうやけだ
こげたみたいに
あたしたちがきえる

 そうしてあたしたちは
 水平線に並べられた
 かみさまの傘の下
 琥珀色にかがやく雲を
 また、み失いながら
 み付けながら
 ステップをふみ重ねる

はばたいて
はばたいては
ひかるばかりのてっぺん
決して順番を乱さずに並べたら
そのうちにだってみんな
死んでしまうんです

(いいんだよ
 つま先は土にまみれて
 いっとうに
 美しいやつだよ)

咲き満ちている
もうかえらない名前たちが
たなびきあう辺り一面
はなをふむあたしたち
だれがために
いちりんのはなをつみ
だれがために
おどるようにうちよせるの

くるくるとまわりながら
あたしは、花の底
スカートをひろげて
スカートをひろげて

どうしてもおんなじようにはできないの

(いいんだよ
 つま先は土にまみれて
 かえろうよ
 かえろうよ)

かろやかにあたしたちの踵で
おかまいなしに弾けて
ちれ、ちれよ はな
きらめく、
きらめくだけの ひかり

たくさんに
たくさんに流れて
いっぺんにまたたいて
よくみえない

あたしたちは
はなをふむ
だれがために
いちりんのはなをつみ
だれがために
おどるようにうちよせるの








自由詩 花の底 Copyright Lily Philia 2011-11-06 21:47:12
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