雪の日
Lily Philia



耳の奥が痛いのは
雪がみんな
音を喰べて仕舞うからなんだ。
って、雪原の真ん中で
ボンボン帽子の男の子が
教えてくれた。

 (掌があったかいね。)

 (向こうの森まで真っ白だね。)

 (白鳥が啼いてるよ?)

 (どこ?ねぇ、どこ?)

 (みえないね。みえないね。)

 (辺りは真っ白だね。)

この雪は
カミサマが降らせているんだ。
って、男の子云った。

その子の大きなボンボンが弾んで
あたしは真っ逆さまに転ぶ。

 (白鳥が啼いてるね。)

 (瞼を瞑ればみえるよ。)

 (あたしの言葉、全部白くなるんだ。)

 (あったかいね。)

 (あったかい雪だね。)

誰かが讃美歌をうたってる。
あれは白鳥の聲だ。








自由詩 雪の日 Copyright Lily Philia 2011-11-02 15:36:01
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