うつくしい国の鎮魂歌 3.11
かみの子

このうつくしい国で たった一呼吸のあいまに 人々が死んだ

どうしてだろう 

だいじな人を殺した この大地は 
どうしてなお 
今日の朝日に照らされることができるのだろう
たくさんの人を殺した この海は 
どうしてなお
正々堂々と 波を打つのことができるのだろう


わからないうちに死に わからないままに生きている
それが それこそが 生命だと言われれば
もう ちいさく 苦笑いするしか ないけれど
このように ズタズタにされても 
まだ うつくしいものが残っているのかと
それがちょっとだけ余計に またつらくもさせる


どちらかというと 神様でなくていい 
誰か 誰かが あの人たちを 
いまたった一呼吸のあいまに
なおうつくしい場所へ 引き上げてください
その時に もしかして 放つ光が 
うつくしい国を うつくしい大地を うつくしい海を 照らすように
遺された生命が 
もう一度 あの人たちに 語りかけることのできる 
たった一呼吸の時間だけを あたえて欲しい


祈れ
この一呼吸のあいだに どうしても 祈れ 



自由詩 うつくしい国の鎮魂歌 3.11 Copyright かみの子 2011-09-17 14:12:44
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