約束のように遠く
霜天

四角い壁掛け時計は、いつだってずれていく
誰よりも遅れて12時の合図を鳴らす頃
止まりかけのコンパスで、地図の上を迷っていた
地球儀はもう回らない、僕の中では使えない
新しく覚えた近道では
感情が使い古されている

僕等はいつまでもここにいるわけじゃないけれど



空に浮かべる歌を
リクエストするスピーカーの向こう側
遠くまで、聞こえます、聞こえます
乗り越えていくその先で
踏み越えていくその道で
水平線は一瞬で
裏返るように過ぎていく



僕等はここを、いつまでも繰り返すけれど

空に浮かべる歌を
空に浮かぶために僕へ
いつからか、いままでの、ここにあることを
約束ほどの軽さと重み
水平線がはっきりと
空に分けられて季節が変わる
重ねるのは時計の
ずれていく音の数だけ
またここで繰り返すまで、地図の上
遠くなります
遠くなります


自由詩 約束のように遠く Copyright 霜天 2004-11-19 02:25:33
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