マイム・マイム
藤鈴呼

世知辛い
せちがらい
一日が 過ぎて

進んだんだか
戻ったんだか
よく分からない程の
熱風が
頬を刺す

しょうゆチュルチュルで
シュコシュコしたのは
自転車のタイヤ
空気入れの音では無くって
灯油の赤ポリタンク

その代わりに
青いバケツを 持って来て
青いビニールシートを敷いて

此処は 屋内なんですけれど
ちょっと テントでも
張りたいような気分にも
なっちゃって

白いタンクを
よっこらせ と 引き上げると
水浸しになった 床が
二重になっていて
穴が 開いて居る

バキュームカーが
通り過ぎた瞬間のような
臭い

覚悟 していたのだけれど
水洗とは 便利な時代だ
ウンとも スンとも 香って来ない

代わりに
開けた窓から
生ゴミ臭が 漂って来る

慌てて外を見やると
交差点には ゴミ収集車
かき集める貴方達は
寧ろ 貢献者なのに
三角の目で 射抜かれて
嗚呼 御免なさいと
代わりに 謝る

四角い西瓜が 出た様だ
熟成途中で 収穫するから
食用では 無いらしい

被災地での 見世物として
運ばれる 運命なのだ

とんでも無い金額を引っ下げて
クリーニング後の タグか
買い立ての値札じゃ有るまいし
自己主張 甚だしいですよ、と
小声で呟く

四角い南瓜に
三角の目玉を 刳り貫いて
周りを まぁるく 囲ったら
マイム・マイムの 
さあ 始まりだ

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自由詩 マイム・マイム Copyright 藤鈴呼 2011-08-20 08:41:43
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