夕暮れみたいな明方がかわいた声を探すころ
ホロウ・シカエルボク




汚れた布を剥ぐように一日が終わろうとしている
最後に君は精一杯の化粧をするみたいに
うろ覚えの心を駆使してそうだ
うたを、うたを、つくるんだ

ギターの弦は錆びていて
すぐに指が痛むけど
まるで一刻を争うように
うたを、うたを、つくるんだ

君がうたう歌のことを僕は知ることがない
僕がうたう歌のことを君が理解しないように
そうして日付はどんどんとそれぞれの終点にむかって
一目散に走ってゆくのです


吐瀉物を流すように一日が始まろうとする
目覚めた君は蝋細工を上手に仕上げるように
定期的で機械的な指先でもって
うたを、うたを、すてるんだ

ギターの弦がはち切れて
壁に傷をつけるけど
そんなことなどお構いなしに
うたを、うたを、すてるんだ

君がすてる歌のことを僕は惜しいと思うことがない
僕がすてる歌のことを君が欲しがらないように
ごみ捨て場はいろんな歌で溢れてしまい
音無しのフェスタが始まってしまう


みんながみんな歌のやり場に困って首をひねるころ
夕暮れみたいな明方はかわいた声を探してる
朝には湿気が似合わないから朝の湿気は悲しいから
夕暮れみたいな明方はかわいた声を探してる
隣町の入口あたりでそれは見つかるけれど
夕暮れみたいな明方のためにうたを歌ってくれはしない


僕が君のことを音楽だと思うとき
君は僕のことをそんなふうに思うかもしれない
だけど僕らは同じ進行ではあり得ないから
違うコードに乗りながら似て非なる気持ちを歌う

君がうたう歌のことを僕は知ることがない
僕がうたう歌のことを君が理解しないように
そうして日付はどんどんとそれぞれの終点にむかって
一目散に走ってゆくのです





自由詩 夕暮れみたいな明方がかわいた声を探すころ Copyright ホロウ・シカエルボク 2011-08-08 00:16:06
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