かみさまのいちびょう
凪名木なぎな




ぼくがぬぐえたはずのなみだで
かみさまのいちびょうをかう

どうせ
あなたはむげんのときがあるのだから

ぼくがぬぐえたはずのなみだをぜんぶ
さしだすかわりに
かみさまのいちびょうをかう











まぁだだよ、をきいたのも
もぉいいよ、をきいたのも
もうずっとずっと
まえのむかしのことだった
それなのに
おにがかくれてねたふりだなんて
みんなはみんな
しらなくて
だれかがおにだとおもってて


おにがいないときづいたときには
いやでもおにのふりをして
ひとをさがしにいくことにした


しげみのおくでばったりと
であったあのこを
いちばんおおきなもみのきの
ねもとまでつれてって
つかまえたから、といって
つないで


ほんとのおにをさがしにいくうち
じぶんのかげがのびていた
まえへまえへと
かげがじぶんよりおおきくなって
まえへまえへと
どうしようもなくおおきくなって
ひとりぼっちにしてきた
あのこのことをおもいだす











あのこはきっとないてる











おおきなかげをひっぱりながら
こんどはゆうひをおいかけて
しらないみちで
はかせがおもいついたみたいに
でんとうが
ぽかんぽかんとひかりだしたら
くろいくろが
あらわれて
くろは
ねんどみたいにかたちをかえて
ふたつみっつと
ぷろぺらみたいにくるりとまわって
あしのうらにまとわりついて



おにはどこ
おにのふりをした
ぼくはどこ



あのこは


ないてる











ぼくがぬぐえたはずのなみだを
ぬぐえなかったなみだを
ぜんぶ
さしだすかわりに
かみさまのいちびょうをかう


いまもかくれんぼはつづいてるんだ
だからあなたはこういうんだ





みぃつけた










自由詩 かみさまのいちびょう Copyright 凪名木なぎな 2011-08-02 07:00:02
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