ぼくがぬぐえたはずのなみだで
かみさまのいちびょうをかう
どうせ
あなたはむげんのときがあるのだから
ぼくがぬぐえたはずのなみだをぜんぶ
さしだすかわりに
かみさまのいちびょうをかう
*
まぁだだよ、をきいたのも
もぉいいよ、をきいたのも
もうずっとずっと
まえのむかしのことだった
それなのに
おにがかくれてねたふりだなんて
みんなはみんな
しらなくて
だれかがおにだとおもってて
おにがいないときづいたときには
いやでもおにのふりをして
ひとをさがしにいくことにした
しげみのおくでばったりと
であったあのこを
いちばんおおきなもみのきの
ねもとまでつれてって
つかまえたから、といって
つないで
ほんとのおにをさがしにいくうち
じぶんのかげがのびていた
まえへまえへと
かげがじぶんよりおおきくなって
まえへまえへと
どうしようもなくおおきくなって
ひとりぼっちにしてきた
あのこのことをおもいだす
*
あのこはきっとないてる
*
おおきなかげをひっぱりながら
こんどはゆうひをおいかけて
しらないみちで
はかせがおもいついたみたいに
でんとうが
ぽかんぽかんとひかりだしたら
くろいくろが
あらわれて
くろは
ねんどみたいにかたちをかえて
ふたつみっつと
ぷろぺらみたいにくるりとまわって
あしのうらにまとわりついて
おにはどこ
おにのふりをした
ぼくはどこ
あのこは
ないてる
*
ぼくがぬぐえたはずのなみだを
ぬぐえなかったなみだを
ぜんぶ
さしだすかわりに
かみさまのいちびょうをかう
いまもかくれんぼはつづいてるんだ
だからあなたはこういうんだ
みぃつけた