ひだまり
A.Yusa
いつか僕も額に収まって陽当たりの良い部屋の隅のタンスの上かなんかで、
にっこりと微笑みながら、君の話を聞くのだろうね
そんな頃には、娘達の髪に白い物が混じり始めていれば良いなと思うのさ
きっとそれで僕も幸せ者だと、胸を張り笑っていられるだろうから
B級映画のエンドロールのような
ほのぼのとした風景が其処にあれば良い
「お母さん、ご飯ですよ」なんて
まるで出会った頃の君のあの笑顔を抱えて、あの子が君を呼ぶ
そんな風景が窓に映ればいいね
たまさかに
思い浮かべるのは、いつも僕が居なくなった後の君の暮らしぶりについてで、遺して行くにはあまりに未熟な今を、少しばかり悔いている
嗚呼、あの時に
なんて…
君の前の、今ある僕は上手く笑っているのだろうか?
その笑顔は君の満足のゆく物なのだろうか?
優しく、非情に陽は傾いて行く
僕はいつも君より一歩先
西を目指して歩く
今は遠くなってしまったが
二人肩を並べて東を目指したことも
初めて出会った時、君のその肩越しに太陽が生まれるのを見たことも
とても善い思い出として、今も心に刻まれている
夏が、静かに沈み行く
僕は、君の一歩先
西日を抱いて沈み行く
いつか君の窓辺に枯れない花を咲かせて、君の笑顔を抱いて沈もう
君の笑顔が
僕の隣に飾られて、初めて二人の物語は終わる
今日が終わりではなく、二人揃って永遠を得た日に
終わるのだ