友情について
佐々宝砂

なんとなく手を差し出したら
貴方も手を伸ばしてきた

ふたりして寝転がってる草のうえ
喋る必要はないのだと
そういう感情だけが走ってきた

そんな牧歌的な時代は
噛みしめる間もなく
過ぎて

いま貴方と私は
黙りこくって
カウンターにすわって

どちらともなく
グラスを持ち上げて
軽くぶつける

乾杯のネタなんかひとつもないわと
言おうとして何も言わない

これはこれで
かなり
牧歌的なのかもしれないわ






Pakiene/パキーネ名義で発表。


自由詩 友情について Copyright 佐々宝砂 2004-11-11 03:34:14
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