眩しい眩しい青色
ブルース瀬戸内

この大地に種をまいて
新しい花を咲かそうと
大きな花を咲かそうと
女の子がぐずってます。

この大地はいつだって
花がいっぱい咲いてて
明るくて活気があって
私を元気にしてくれた。
なのに今は元気がない。
花が一つも咲いてない。
だから種を買ってきて
ここにたくさんまくの、
ここに花を咲かせるの、
と女の子はぐずります。

ママに怒られた日には
ここで反省していたし
パパが帰らない日には
ここで昼寝してたもん。
と女の子は告白します。

その話を聞いた母親は
とっても嬉しくなって
父親にすぐ連絡すると
父親は種を買ってきて
女の子の手に渡します。

女の子は父親に寄って
思いっきり抱きついて
だからパパが大好きと
三回ばかり言ってから
父親の上に見える空を
目を細めて見上げます。
眩しい眩しい青色です。

女の子は種をまきます。
母親の手を握りながら
女の子は種をまきます。
新しい花は大きな花で
新しい花は優しい花で
新しい花は強い花なの、
と女の子は口にします。

母親は涙を流しながら
その姿を眺めています。
ママは泣き虫なんだね、
私と一緒で泣き虫だね、
と女の子は少し笑って
自分も涙を落とします。
涙が大地を少し濡らし
それが種にも届きます。

父親は二人を抱きしめ
涙を指で拭いてあげて
もっと強く抱きしめて
目を細めて空を見ます。

眩しい眩しい青色です。
数多くの深遠と哲学が
無力を露にしていても
優しさだけは残ります。

女の子は父親を真似て
目をわざとらしく細め
新しい空気を吸いこみ
ゆっくりと微笑みます。


自由詩 眩しい眩しい青色 Copyright ブルース瀬戸内 2011-04-22 02:50:33
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