新米親父の詩 ー胎児の合図ー 
服部 剛

これからの僕は 
嫌な上司のみみちい小言を、撥ね返す。 
これからの僕は 
苦手な注射も唇結んで、ぐっと耐える。 

どうやら親父になるらしい 
僕は自分の弱さを抱き締めながら 
日常のあちらこちらから飛んで来る 
サッカーボールの数々を 
歓び勇んで、空へ蹴る。 

嫁さんのふくらむ腹にあてた 
新米親父の手のひらを 
胎児の君の愛しい足が 
合図のように、蹴ったから 

吾児あこよ、君が地上に立った日は 
足元の一つのボールを 
力一杯、蹴り上げよ 

桜吹雪の向こうの空へ 








自由詩 新米親父の詩 ー胎児の合図ー  Copyright 服部 剛 2011-04-10 23:38:28
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