翼
藪木二郎
やっぱりさ
逆レイプって
夢だよね
僕ってほんと
軟弱で
肉体的条件としちゃ
結構普通に
逆レイプされちゃいそうなんだけど
でもそこは
重傷負ってるとかって
言い訳が欲しいよね
そうすると僕は
いきなり戦闘機に乗っかっちゃってて
そしていきなり
墜落しちゃってる
レーダー迎撃士官は死んだ
その血塗れのコクピットから
君が僕を
引っ張り出してくれるんだ
小さな家
小さなベッド
君が口移しで
水飲ませてくれるのは嬉しいんだけど
だんだん意識がハッキリして来て
ああっううって言ってる僕に
流動食
君が何度も咀嚼して
ほとんど君の唾液と化した
林檎とか木苺とか
その頃から僕は
ちょっとだけ不安
感じ始めるんだ
夜も君は
人肌で暖めてくれる
でも
僕の脚に絡みつく
君の脚の根っこの部分が
腿にぺチャッと吸いついて来て
ようやくベッドに
上体を起こした僕
また果物を採りに行ってた君が
それを見咎める
まだ起きちゃ駄目よって叫ぶ
いきなり覆い被さって来る
離せっ
離せってばっ
痛いじゃないかっ
そりゃ君には感謝してるがっ
うわあっ
背中に爪を立てられる
胸も数ヶ所
ガブッガブッて咬まれる
再び
傷口が開いて
気がつくと僕は
ベッドに縛りつけられちゃってて
しかも僕の下半身は
君の髪の毛に覆われちゃってて
そしてその中心の小さな頭が
ゆらりゆらりと揺れているのは
さあそれからが本当の
地獄だか
極楽だかの
始まり