氷面
霜天

ドアが開くような音がすると
誰かが勢いよく飛び出していく
真っ直ぐに見せている道は
静かに湾曲していて
遠くの方で反射して、光が
不透明な景色を作っている

霧に浮かんでいる街で
探し物をし続けている
何を探しているのかと
それさえも探し続けている
行き先表示は行方不明
いつもより明るい朝に
走る
それだけが残されているような
そうしなければいけないような

湾曲する、その先で
氷面にあなたの表情が残存していて
僕はそれを直視できない
先回りして、振り向いてみても
少しだけ、冷たい夜には
いつまでも溶けずに、そこにあるから
僕は滑って転ぶことも出来ない


揺れながら
それでも
真っ直ぐに見せようとする道を
今日も誰かが飛び出していく
ドアが開くと
霧が流れ込んで
世界が揺らめいていく
それを見ながら僕は
溶けていくのを待っている

空が咲くのを待っている


自由詩 氷面 Copyright 霜天 2004-11-03 16:07:13
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