まばたき
松本 涼

雨を吸った土の匂いの中に
小さな足音は染み込んで消え

痩せた川の澱みで回転する
小枝に自身を重ねている


どこでもないその場所で
世界はゆっくりと
瞬きをしていた


見上げれば黄色になった葉が
まるでそれに合わせるように
次から次へと舞い落ちる


誰かの手を握ることに
何の躊躇いもなく居たのは
いつのことだったろう




自由詩 まばたき Copyright 松本 涼 2004-11-02 00:14:54
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