夜の灯 
服部 剛

退職した職員とこじれ 
くたびれた顔をしていた呑気な社長が 
一人残って書類の仕事をする僕のもとへ 
ふらりと、やって来た 

お客様の心無い罵声を浴びて 
机に顔を伏せていたまじめな先輩も 
つられたように 
うつむきながら、やって来た 

もう一人の陽気な先輩が 
日中の仕事で 
認知症の婆ちゃんに叱られた僕をネタに 
3人で囲んで、からかって 

( 僕はふんふん頷きながら 
  キーボードを、叩き続けた・・・ ) 

話のネタも尽きた頃・・・ 
陽気な先輩はいつのまにか、姿を消していた 
まじめな先輩はちらりと見て「じゃあな」と帰った
呑気な社長は「服部クン飯でも食おうよぉ」ととぼとぼ帰った

( そんな風に虫達はいつも 
  夜の仄かな灯りに吸い寄せられる・・・ ) 

日中険しい顔をしていた人達の 
眉間のしわが 
いくらか緩んだ、残業のひと時。 








自由詩 夜の灯  Copyright 服部 剛 2011-02-04 21:45:18
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