裸の木 
服部 剛

聴く、という姿勢で 
石の上に腰かけ 
微かに首を傾けながら 
瞳を閉じる少女よ 

冬の冷たい風に襟を立て 
凍える私の前で 
風に耳を澄ます 
銅像の少女よ 

閉じた瞳の裏に 
開かれた視界に 
君は一体、何を観るのか 

「聴く」という銅像の前に震えて立つ 
私の閉じた瞳の裏にあらわれる
少女の体に透けた
背骨のような 
幾枚かの葉を震わせる、裸の木

暗闇に光を帯びて 
崩れぬ姿で、立っている。 








自由詩 裸の木  Copyright 服部 剛 2011-02-01 23:51:44
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