寒雪



手の平に抱え上げた
慣れない風景に落ち着かず
表情を揺らす
一すくいの水
水面に映るぼくの顔が
広がったり狭まったり
本当のぼくになかなか近づかないのは
物理的なもののせいだけではない
合わせていた手を
左右に開くと
支えを失って落下する水たち
洗面台に勢いよく弾け飛ぶ
排水溝に飲まれずに懸命に
生き残る水滴が
運命の完成形だとすれば
先を思う前に蛇口をひねる
勢いよく仲間を増やす水たち
鏡の向こうにいる自分は
流れる水か止まった水か


自由詩Copyright 寒雪 2010-12-23 09:31:48
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