夏の肌
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<1> 
 
ぽこ ぽこ ぽこぽこ
 
アスファルトを沸騰させよう
 
ポコ ポコ ポコポコ ポコポコポコポジュワァァー
 
アスファルトを沸騰させよう
 
暑いし
 
眩しいし
 
何より君がステキすぎるから
 
アスファルトを沸騰させて
 
僕はクロールで迎えにゆく
 
 
 
こんなのって嫌い?
 
 
 
 
  <2>
 
  急降下してくる産婆だ
  生えてくる綿菓子だ
  呟く壁だ
 
  よりによって一番とりとめの無い医者だ
  回覧板とビート板をかんちがいしてやがる
 
  アイスも溶けるし
  ぐるぐる回るし
 
  こうやって14.5km/hを保ちながら走るのも
  誰のせいでもないのだ
 
  意味があるなら教えてくれ、だ
  勘弁してくれよ、だ
  愛してるよーー、だ
  よおく考えなさい、だ
  ここ座っていい?、だ
  かわいいね、だ
  抱きしめていい?、だ
  キスしていい?、だ
  脱がしていい?、だ
  入れていい?、だ
  気持ちいい?、だ
 
  この銃をどうしてやろうか?
  ああ
  暑い
 
  音と風と弾丸(タマ)
  オマエにやろうか?
 
 
 
 
<3> 
 
レコード板には
音が刻まれていて
美しい演奏を再生できるのよ
 

教わったが
 
おれたちはみんな
「UFO!」
「ブーメラン!!」
「怪獣!!」

てんでに叫んで
レコードをほうり投げた
 
「あほぉーー!」
「ぼけぇーーー!」
「しねぇーーーーー!!」

 
大好きな夏に照れながら
 
 
 
 
  <4>
 
  ねえさん
 
  ビアおくれよ
 
  くわっと冷やしてよ
 
  ビアガーデンでビアを流し込む日中
 
  意味のわからない豆は塩味で
 
  意味のわからない唄は塩味で
 
  塩分や糖分や微分や積分やで

  僕はだんだんと意味がわからなくなってきてる
 
  怪獣ショーとかを探して歩きたくなってきてる
 
  ぽうん と
 
  たいよう
 
  くっきりと地面に縫われた影を踏んで踏んで
 
  あと二歩で倒れて それで
 
 
 
 
<5>
 
空が青いので間違えちゃった
てへへ
 
と言って
彼女はあんまり見栄えのしない魚になって
泡のような雲の間をゆく
 
おーい
 
おおーい
 
 
 
笑いながら昇ってゆく
 
 
 
 
  <6>
 
  頑丈なバスがゆく
 
  空調が壊れてしまい
  好きほうだいに焼かれながら
 
  頑丈なバスがゆく
 
  乗客がひとり
  またひとりと蒸発してゆく
 
 
 
  夏の下を
 
  みえないけむりを噴きながら
 
  頑丈なバスが走ってゆく
 
 
 
 
<夏の肌>
 
この 確率は
どんなだろう
 
あの人の肌にふれられる
 
この 確率は
どんなだろうか
 
 
 
奔放な繊細な細胞に
惑いながら
 
誘うような拒むような仕草に
惑いながら
 
こうして
幾たびも
幾たびも
 
過ぎてゆくだけの夢
 
 
 
さよなら!
 

 
手を 振ったのではない
 
 
 
ふれたくて!
 
ふれたくて、ふれたくて、ふれたくて!
 
手を 伸ばしたのだ
 
 
 
離れてゆく必然など
 
理解できるか ばかやろう
 
 
 
ゆっくり
しっかり
 
 
 
閉じてゆく


自由詩 夏の肌 Copyright 投稿者 2010-09-28 00:58:50
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