訣別
佐々宝砂

希望があるから絶望があるんである
絶望したくなかったら
希望なんぞ持たぬがよろし

数独を解くのに飽きたわたくしは
今日七杯目の焼酎をつぎながら
わたくしの幸運なる結婚生活について
(たまには)神妙に考えてみる

わたくしが訣別すべきは
酒であり
ネットであり
向精神薬であり
おそらくは詩であろう

などと言う舌の根はさっさと乾くので
わたくしは七杯目の焼酎を口にする

すっからかんに
あっけらかんと
からっぽな
わたくしの心には
風も吹かねば雨も降らない
ただ乾きがちではあるから
酒を飲むんである

希望がないので
絶望がない

そういえば
訣別はもう済ませてきたんだと
グラスの中の氷が
ささやいている


自由詩 訣別 Copyright 佐々宝砂 2010-08-31 08:09:36
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