何も終わらない
及川三貴

強い風で海から潮があがる
輪郭を弱めて 遠い
少しよろめく程の 嘘がいい

丁寧に紙を貼る 名前を無くした
もう誰も知らない信仰
角が取れた河口の石は
死の形をしている

記憶は疲れた顔をしている
陽を隠した掌の陰
微笑んだ口許は
私を何時までも苦しめる

あれは何年そこにいる
錆びの苦しみに 身体を晒して
内側からすこしづつ溢れてくる水だ

届かない
ここが中心
願望の先にある時間
想像する
間違いだった
ここが中心
嘲りの美しい声色

ここが


自由詩 何も終わらない Copyright 及川三貴 2010-08-29 00:16:15
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