氷像
えすぷり


近頃便利がはんらんしている

子供の手あかにまみれていた「ブリキロボット」が
成長し 表情までリリしく変わり
時に行動までも 人間よりもりりしかったりする程だ
そのうちに見分けがつかない事はおろか
「心」まで入れ替わってしまいそうにちょっと見えた

「夢」を見た
こどもの自分がプラモデルを作っていると
人型ロボットが扉を開け ツカツカ歩み寄ってくると
見る見るものの一分足らずで完成させてしまい
それを「ドウゾ」と差し出してよこした

次の日もまた夢を見た 現在の自分が迷路の中で
彷徨っていた すると「ハッケン」との平坦な声
昨日のロボットが汚れ一つなく立っていた
「人生ゲームの佳境だと思ってたのに」

「この世は氷のブロック
カンナで徐々に削られていき
美しい像をせっかく築いたと思ったら
なぜかそこで留まらず
どこまでも削っていく
いつか すべてが粉々になってしまうんだ」

と3度目の夢の中に出てきたロボットが
平坦な声で語った

便利が「氾濫から反乱」にならないようにと





自由詩 氷像 Copyright えすぷり 2010-08-24 18:04:56
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