ひとしれず
こしごえ

冷蔵庫でひやしておいた
いちごのあまくつめたいおいしさ
でも、あのひとにはもう
食べさせてあげられない
。。。。。。。。。わたしは今日も
生きのびているというのに
未来をかすめる
ひとくち ひとくち
食道をしずまり歩む
すがた無きものの
強度にもささえられているのだ。
生きていたものたちの
ひとこえ ひとこえ
おぶさる
果実の日影ですのよ。
お蔭さまで
いくつもの実った宇
宙を口にふくむ
ひとつぶ ひとつぶ
果汁ものこさず
こっくりとのみこみ、
伝言をうけとる。
※(となりの宇宙が亡くなったそうよ。)
だれかが今日も。
おもい出をすくえば
この手のひらに、お山の
うぐいすがないている
うららかな日和に
うきあがる
雲ひとすじ。
あきらめも肝心と ほほえむほほを伝う。
うつろなうわめづかいで
冷蔵庫にふたたびいちごをひやす
ひかれ
あっている今日も。
ここにあります
あのひとのひろがる宇宙





自由詩 ひとしれず Copyright こしごえ 2010-08-16 09:18:19
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