さくつきみやま
あおば

                      100715



五月闇殺人事件の捜査を私的に依頼された
容疑者は未成年で殺意は抱いていないと言っている
殺害されたのは近隣の壮年男子で
県道の歩道ライン内側を散歩しているところを突然後ろから襲われて
サイフを抜き取られそうになり
格闘となり
誤って車道にはみ出したところを前方不注意の車に轢かれ
救急車で病院に搬送の途中亡くなったとのことだ
直接の死因は分からないが
交通事故で処理されなかったのは
違反者の老人が
想定外の地点に突然飛び出してきた被害者を
避けきれなかった
事故ではない、事故を装った殺人だと
未成年が事故の第一原因者だと言い張った
遺族も未成年が事故の原因を作ったのだと恨んでいる
未成年が被害者を後ろから襲ったのは事実のようで
対向車が目撃している
強盗かどうかは不明だが
暴行罪の容疑で立件されそうだ
動機がなんであるのかはこれからの捜査を待たねばならないが
依頼者は私のことを少しも信頼していない
民間人はいざというときに役に立たないと誰かに吹き込まれたのかどうかは不明だが
捜査官に気に入られようとするのを見るたびに因果な商売だと思うので
忘れないうちに原稿を書き上げて
朝になったらメロドラマに挑戦しようと思う
「さくつきみやま」(副題 春の嵐が吹き止むまで)タイトルは考えてある







「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作を修正。タイトルは、 結城 希さん。



自由詩 さくつきみやま Copyright あおば 2010-07-15 23:28:02
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