いいわけ
小川 葉
おかねをかりに
まちにきたと
つまがわたしに
でんわした
こんなにてつやして
やすみなくはたらいても
まだたりないのだ
しょうひんけんをかう
そのとなりで
はしゃぐむすこに
わざとらしく
はをだしてわらう
まねしてわらう
はをだすむすこを
わたしはしかった
そんなわらいかた
するんじゃない
いまにもぬけそうな
しろいにゅうしが
とじたくちのなかに
きえていった
おかねをかしてくれる
ビルをでて
そうだなひさしぶりに
おかねもはいったことだし
さんにんで
しょくじでもしよう
ほんとうは
そういいたかった
けれども
もうおそいから
かえりなさいと
ふたりをみおくった
それからちちは
ふたりにごちそうしたかった
あるみせで
おいしいものを
ひとりでたべたのだ
おいしいものなんか
いらなかった
ただ
かぞくさんにんで
なにひとつ
いいわけしなくていい
じかんがすこし
ほしかった
おもいでが
ほしかった
自由詩
いいわけ
Copyright
小川 葉
2010-07-07 05:55:29
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