過程
小川 葉

 
 
都会の暮らしを
母は嫌った
あの時の母の歳に近づくほど
その気持ちが
わかり始めている

わたしは間違っていたのかもしれない
けれどすべては過程なのだ
あるべきところに
あるべきように
ここまで転がってきた

故郷の言葉が
息子には通じない
それはすっかり
わたしがなりたかった
都会の子供だ

不思議なことに
この街の暮らしが長くなるほど
故郷の訛りが強くなっていく
人柄もまた父のように

だからおまえは
わたしの代わりに
この街で生きてくれ

その景色は当たり前のように
新幹線が見える校庭で
時には飛行機も飛んでいる
そんな絵を
むかしわたしは描いた気がする
 
 


自由詩 過程 Copyright 小川 葉 2010-06-17 01:23:29
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