雨が降っている
ふくだわらまんじゅうろう

雨が降っている
とても素敵な雨が
道路の埃をすべて洗い流して
この世の憂いを
すべて洗い流して

死にたい気持ちが
いつまでも消えない

寝るとき
もう二度と目が醒めなければいいのに
そう思いながら寝る
いつもそう思いながら
寝る
こんな人間
生まれてこなければよかったのに

倒れるまで働いて
倒れたい
お金なんていらない
倒れるまで働いて
倒れてそのまま
死んでしまいたい

何のために生きるのか?
何のために働くのか?
何のために我慢するのか?
ぼくらは奴隷さ
この地球の?
この太陽の?
この銀河の?
この宇宙の?
この輪廻の?
独裁者の?
民主主義の?
戦勝国の?
被害者の?
文化の?
文明の?
科学の?
数字の?
お金の?
物欲の?
ぼくらは奴隷さ
くだらない奴隷さ
こんな紙切れにさえ振り回される
取るに足らない奴隷さ
噂話で右往左往する
塵より価値のない奴隷さ
自分の脳味噌と
自分の命の
哀しく情けない奴隷なのさ

雨が降っている
奴隷たちの頭の上に
乾いた大地に
死にたい気持ちは
いつまでも消えない
誰かが奴隷を解放しても
奴隷たちはまた
新しい主を求める
もう二度と目が醒めないならば
この迷路の壁を乗り越えて
この雨に降られて
溶けてなくなってしまいたい




自由詩 雨が降っている Copyright ふくだわらまんじゅうろう 2010-06-03 23:52:10
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