わかりません
クローバー

わかりません
と、言った私の言うことが
わかりません、という顔を貴女がしていました。
貴女は、わかりません、を
私の胸から摘んで取り出しました。
私のわかりませんは、氷山の一角で
とりあえず、食卓に置いてみたのだけれど
会話するにはジャマだし
ひんやりとするだけでした。
あ、シロップあるよ
どこからかアイスピックを持ってきた貴女は
私のわかりませんを砕いて
手回しかき氷機で、ガリガリと掻いてしまいました。
わからないことは、わからないまま
咀嚼する貴女でよかった。
飲み込むと、ごめん、練乳はないよ、と言い
いや、だいじょうぶ、と私は答えました。


自由詩 わかりません Copyright クローバー 2010-06-02 22:09:29
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